「⼈間社会のすべての構成員は相互の援助を必要としている(中略)。必要な援助が、愛情から、感謝から、そして友情と尊敬から、相互に提供される場合は、その社会は繁栄し、そして幸福である」
(アダム・スミス「道徳感情論」 ⽔⽥洋訳 岩波⽂庫より)
これは“経済学の祖”と言われる、イギリスの経済学者(哲学者、倫理学者でもある)アダム・スミスが、今から260余年前の1759 年に記した言葉です。
sweet heart projectのHPの取材コラム記事に、今回とても固い話を持ってきました。
でも、今回、sweet heart projectの活動をサポートしていただいている、世界的に有名なグローバルIT企業、VMwareの日本法人(ヴイエムウェア株式会社、以下「ヴイエムウェア」)の皆さんを取材、いろいろお話をうかがっている間、私の頭をぐるぐる回っていたのは、上記のアダム・スミスの言葉でした。
もう少しだけ固い話を。アダム・スミスは、多くの人々や企業が利益を出そうと事業や経済活動を始めると、それに関連して様々な経済活動が生まれ、さらに結果的に雇用も生まれ社会に波及し、それぞれの部分で市場メカニズム(需要と供給にもとづく価格調整などのメカニズム)も働き、ひいては、経済活動の大きな枠や成長が生まれていく、という主張が有名で、経済学部1年生の最初に習うものの一つですが、それと同時に、スミスは社会における相互支援/援助の重要さも、実は同じくらいの重さをもって主張していました。
社会で繰り広げられる多くの経済社会活動の中で、ともすれば忘れられがち、後回しになりかねない障がい者の方々の活動への支援は、近代国家の制度の中で日本でも充実してきていますが、こうした公的制度とは別に、”民“(企業など)の関わりも進んできています、しかし、それは今でも決して大きくはありません。
こうした中、今回、取材させていただいた、sweet heart projectの活動をサポートしていただいているヴイエムウェアでは、会社も社員も社会の”コミュニティ“の一員であり、そのコミュニティにどう貢献していくか、ということを企業の自然な基本理念として、多くの社員の方々が心にとめています。

「グローバル企業だからこそ、より、日本の社会課題に対して、どう貢献できるかを社員一人一人が自然と考えている」
(sweet heart project支援の意味についてのヴイエムウェア株式会社 山中直代表取締役社長インタビューより:当HP2022年8月掲載記事)
社会課題への支援と言うか、貢献と言うか、その表現はともかくとして、その姿勢には、”コミュニティへの貢献“や”社会貢献活動“といった概念的な言葉をはるかに上回る、ヴイエムウェアの社員の皆さんの心温まるやさしいheartを感じる今回の取材でした。
VMwareには、VMware Foundationという社内の仕組み/枠組みがあり、それに基づいて、社員の方々が社会やコミュニティへの貢献や支援活動をどうするか、一人一人がそれぞれの考えで活動をしています。
その大きな柱の一つに、sweet heart projectへの支援を据えていただいています。
最初は、コロナ禍の先が見えない社会全体が重苦しい閉塞感に包まれていた2020年秋、ヴイエムウェア社内のクリスマスプレゼントで、sweet heart projectの当時3施設だけだった福祉施設で作られたお菓子を配っていただいたことでした。
「“sweet heart projectの福祉施設の障がい者の方の作るお菓子のプレゼント”のメールが来て、クリスマスプレゼントとして希望者にお菓子が届いた形だったのですが、コロナ禍の中で人と人とのコミュニケーションが希薄になってきていた中、とても嬉しく心温まる感じだったんです」とセールスアドミニストレーション部の片平佳美さんは当時のことをとても爽やかに語ってくれました。

同時にそのころから、ヴイエムウェア社の業務の中で、お客様やパートナー企業様への、営業やイベントなどでの手土産用としてお菓子を購入していただいて、どんどん増やしていただいています。受け取ったお客様企業の中からも「sweet heart projectのお菓子を使いたい」との反響にまで広がっているとのこと。
sweet heart projectのお菓子の確保や準備を担当されている片平さんは「3日前に●●個、お菓子、営業で要るの!?、わあ、どうしよう、という感じの時もあります」と語り、その話を受けたsweet heart project の東光篤子代表も「今はお菓子つくりの障がい者支援施設も35に増えましたが、ええ、あと3日で▼▼!?」と、お互いの”嬉しい悲鳴”でのやりとり発生、のエピソードの話に、取材では花が咲きました。
ヴイエムウェアで扱っていただいたsweet heart projectのお菓子は既に1000箱を超え、山中社長は「2000、いや3000を超えていこう」とおっしゃっているとのこと。
その広がりは様々な反響も生んでいて、「ヴイエムウェアのイベントにご参加のお客様に配られたsweet heart projectのお菓子を持ち帰られて、ご家族が”素晴らしいこと“とヴイエムウェアの会社の取り組みを評価していただいたり、お菓子を持ち帰られたお客様の娘さんが“美味しい”という話をした友人の方がたまたまヴイエムウェアの社員だったり、など、いろんなつながりもありました」と、セールスアドミニストレーション部の二宮恵子部長は、「単なる手土産というだけではない、障がい者の方々のお菓子つくりの支援、という活動の“意味性”の広がりの大切さも日々感じている」と話してくれました。

そして、今、ヴイエムウェアからsweet heart projectへのさらなる強力な支援も動いています。
VMware Foundationの活動の柱の一つ「サービス ラーニング」という制度、年間の就業時間内のうち40時間をボランティアや社会貢献活動に充てることができる制度です。また、自分が支援をしたい団体などに簡単に寄付ができる仕組みがあり、その際に会社が寄付金を上乗せして提供する「マッチチング ギフト」制度もあります。
また、同じくVMware Foundationの活動の一つ「グッド ギグス」という活動での、sweet heart projectの組織運営面でのIT化支援DX化支援も進み始めています。「グッド ギグス」という活動の中には、NPOなどの団体のIT化、DX化を支援するというものがあり、ソフトウェアの提供やITの技術的知見等を踏まえた支援、初期のDX基盤つくりの支援、一定期間のメンテナンスなど、無償で支援する活動で、その活動でのsweet heart project への支援も緒に就きました。
この活動、一般的な企業の活動の中で考えると、私など経済記者をしていた人間は、一瞬、”企業の社会貢献活動と言っても、気前良すぎ?持ち出しが大きすぎません?“と、薄っぺらい恥ずかしい評価を思ってしまうのですが、ヴイエムウェアの進藤資訓CTO(最高技術責任者)は「社会課題に会社として貢献して、コミュニティがさらに良い方向に向かっていただけるよう、テクノロジーで社会が良い方向に向かうことに貢献したい、ということですし、いや、それ以上に私たち社員一人一人がIT・テクノロジーが社会をどう良くしていくことができるか、ということを社員が勉強させていただいているんです」と活動の意味するところの奈辺を力強く説明いただきました。

また、このNPOなどへのIT化支援、DX化支援では、「IT化DX強化は、会社組織などでは利益向上や効率化が主眼になりますが、NPO団体などではその団体の現状や事情に合わせて、そこで働く人が無理なく、負荷が大きくならないことも考えながらのIT化DX化が大事です。だから、そういう面も”社会のためにいい方向に貢献する“という趣旨でとても重要でなんです」とプロフェッショナルサービス統括本部の伊藤みどり部長は、その取り組みの、真に社会に役立つような腐心も大切と説明してくれました。

私は、取材でいろいろお話を聞きながら、社会が、会社が、コミュニティが、そしてsweet heart projectのような活動が、支えていただいている方々と一緒に、それぞれの置かれた環境や役割をもって、自然に”社会をよりよくしていくこと“、関係する人がみんな笑顔になり、その笑顔を見た人が活動の意味を知って、また活動内容を知って、さらに多くの人の嬉しそうな笑顔につながっていくという状況が、ヴイエムウェア社員の方々のsweet heart project への支援の活動から明確にくっきりと浮き彫りにされてきていると感じました。
そして、そこにはどの場面でも、根底に通奏低音のように”心=heart”(優しさと温かさ)があり、それは、きっと、今後21世紀の社会(日本だけでなく世界の)と会社と経済、コミュニティの関係性のあるべき理想の姿の一つなのでは、と痛感しました。
ヴイエムウェアは2023年に発足20年になりますが、その記念で、ヴイエムウェアで使うSHP用のオリジナルのイラストも、東京町田の障がい者支援施設La ManoのOZAKIFUMIHIKOさんに新しく描いていただきました。
つながりは次々と広がりを見せています。


sweet heart project 実行委員
(元フジテレビ報道局経済部長、解説委員)