トプコンから広がるやさしい想い

“sweet heart”の生まれる場所から

みなさん、クリスマスのシーズンの夜、足を伸ばすチャンスがあったら、東京の板橋区にある「トプコン」の本社に行って見てください。きれいなイルミネーションが敷地い~っぱいに広がっていて、目を楽しませてくれます。
 2006年より毎年実施しており来場されるお子様にはお菓子が配られます。2020年のシーズンには300個用意したお菓子があっというまになくなってしまいました。

 このお菓子、じつは、障がいがある方がはたらいている施設でつくられたものだったのです。
 そのお菓子は、やさしい心で施設で働く人たちを応援しようという企画の一環でした。

 スイートハートプロジェクト

 新型コロナウイルスの感染拡大は、世の中に大きなダメージを与えています。
 ダメージの一つは、イベントの中止です。展示会、お祭り、学校の文化祭などなど。それらのイベントで施設のお菓子は売られてきました。それが、相次いで中止になってしまったのですから、施設はピンチです。はたらく障がいがある方たちの工賃が払えません。
 SOSを受けて動き出したのが、スイートハートプロジェクトでした。
 そして、声がかかったトプコンはすぐに手を挙げたのでした。

 ところで、トプコンって何の会社かご存じですか?
 創業は1932年です。東証一部に上場しています。精密光学機器のメーカーです。グループの年商は1300億円あまりで、従業員は世界中におよそ5千人です。
 けれど……、精密光学機器メーカーというけれど、何をつくってるの? すぐに想像できたとしたら、そんなアナタはただ者ではありませんね。
 みなさんの中には、テレビドラマ「下町ロケット」を見ていた方がいると思います。無人のトラクターが決められた場所を走行し、農作業をしてくれました。トラクターがGPS衛星から受信する情報で正確な位置をはかっているからできる、文字どおりの「離れ業」なのです。
 たとえば建設現場のブルドーザー。これも、GPSの位置情報でロボットの様に動かすことができます。人手がなくても、人間が危険な作業をしなくても、機械がしてくれます。
 農業のIT化は、この地球で私たちが生きていくうえで大切な課題解決のひとつです。農業の効率化は世界を食糧危機から救うことにつながるのですから。
 建設現場でも、同じことが言えます。GPSの技術で建設機械をロボットの様にスムーズに動かせれば、熟練の技術が不要になります。作業の効率も上がることでしょう。
 緑内障などの目の病気。発症するまえに病になる危険性をキャッチする。そんな目の健康を守る検査機器をトプコンは開発しています。

 トプコンのホームぺージをのぞいてみましょう。主な製品として挙げられているものは、眼科用検査・診断機器、農業用の自動操舵システム、3次元計測機や建設機械のIT施工システム……。切りがありません。
 先にも紹介しましたが、トプコンの創業は1932年、昭和7年です。その前年に満州事変がおこっています。世界が戦争に向かっていく中、陸軍からの要請を受けて「東京光学機械株式会社」が誕生、測量機、双眼鏡、カメラなどの生産を始めたのでした。
 そして敗戦。焦土と化した日本の復興に、トプコンの測量機は大活躍。検眼機などの医療機器事業もスタートさせます。戦後早々海外にも進出、さらに世界のベンチャーとの提携や買収を進めてきました。
 こうして、「い・しょく・じゅう」に不可欠な光学メーカーとなりました。衣食住、ではありません。医食住で~あります。

 トプコンのホームページを、さらに見てみます。「TOPCON WAY(トプコン・ウェイ)」が掲げられています。

  • トプコンは「医・食・住」に関する社会的課題を解決し、豊かな社会づくりに貢献します。
  • トプコンは先端技術にこだわり、モノづくりを通じ、新たなを提供し続けます。
  • トプコンは多様性を尊重し、グローバルカンパニーとして行動します。
  • トプコンはコンプライアンスを最優先し、全てのステークホルダーから信頼される存在であり続けます。

 いわゆる経営理念です。従業員のみなさんにTOPCON WAYが書かれたカードが配布されています。従業員の血となり肉となっています。

 この経営理念は、国連が2030年に向けた持続できる17の開発目標「SDGs」にだぶります。
 1番目は「貧困をなくそう」、2番目は「飢餓をゼロに」、3番目は「すべての人に健康と福祉を」……、9番目は「産業と技術革新の基盤をつくろう」、10番目
は「人や国の不平等をなくそう」……、そして17番目は「パートナーシップで目標を達成しよう」。
 トプコンの事業、戦略はSDGsと重なることがおわかりだと思います。そして、もちろん、トプコンはSDGsを意識したわけではありません。結果としてそうなった、ということです。
 総務の担当者は言います。
 「社会的課題の解決に取り組まなければ、企業は生きていけません」
 まさに高齢化に伴う眼疾患の増加、人口増加に伴う食糧不足への懸念、インフラの需要増に伴う技能者の不足などトプコンの取り組みはグローバルな社会的課題の解決に向けた取り組みなのです。

 最後に、スイートハートプロジェクトに話を戻しましょう。ふたたび総務の担当者の話です。
 「わたしたちにはダイバーシティ、すなわち多様性を尊重し、グローバルな医・食・住の社会的課題の解決に取り組むというベースがありますので、障がいがある方たちを支援するのは、ごく当たり前のことでした」
 そして、2021年春。
 トプコンは、地域密着の社会貢献として、まずは、地元板橋の障がい者支援施設の活動を応援するキャンペーンを、スイートハートプロジェクトといっしょにすすめます。障がいがある方のつくる素敵なお菓子やアート、どんなお仕事や活動をしているのか、などなど…。福祉のことをたくさんの人に、トプコンからやさしい想いが広がっていくはずです。(了)

株式会社トプコン (TOPCON CORPORATION)

〒174-8580 東京都板橋区蓮沼町75-1   
https://www.topcon.co.jp/ 
03-3966-3141

代表取締役社長 平野 聡
1932年設立 資本金16,680百万円(2020年3月末)
売上高(連結)  138,916百万円(2020年3月期)
社員数(連結)  4,939名(2020年3月末)

東京証券取引所市場第一部上場
グループ会社      連結子会社 70社、関連会社 11社(2020年3月末現在)

事業内容            
ポジショニング(GNSS、マシンコントロールシステム、精密農業)、スマートインフラ(測量機器、3次元計測)、アイケア(眼科用検査・診断・治療機器、眼科用ネットワークシステム、眼鏡店向け機器)等の製造・販売

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