テレワークと「福祉のお菓子」が生み出す新しい価値

コロナ禍で急速に広まったテレワークと働き方改革……。残業をなくしつつ、生産性向上をめざす企業のサポートをしている (株)ワーク・ライフバランスの社長・小室淑恵さんに、テレワークと「福祉のお菓子」の活用について、伺いました。

小室淑恵 株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長 2006年、株式会社ワーク・ライフバランスを設立。多数の企業・自治体などに働き方改革コンサルティングを提供し、残業削減と業績向上の両立、従業員出生率の向上など多くの成果を出している。多数の著書を執筆。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2004受賞。2014年5月ベストマザー賞(経済部門)受賞。  
株式会社ワーク・ライフバランス (https://work-life-b.co.jp/ ) 1000社以上の「働き方改革」を成功に導いてきたコンサルティング会社。 働き方改革や女性活躍推進に関するコンサルティングをはじめ、改善する為のツールのご紹介、講演、研修、養成講座、セミナーなどを全国各地で行う。  

“新しい考え方を伝えるときには、肯定する事が大切”

(東光篤子、以下東光)小室さんが起業された2006年頃、私がいたIT業界では、Googleなどシリコンバレーの働き方が注目を浴びながらも、日本ではまだまだ「残業は美徳」というのが実態でした。そんな時代にワーク・ライフ・バランスというコンセプトをどうやって浸透させていったのか、最初に伺いたいと思います。

(小室淑恵、以下小室)新しい考え方を伝える時に、相手の価値観を無理に変えるのでなく、当時はその働き方が正しかったということを、肯定することが大事だと思っています。1960~90年代は、若者が多く高齢者は少ない人口構造で、人件費も安く、同じ物を均一に大量生産するには長時間労働が本当に有効な手段でした。そうやって今の日本の土台ができたことは事実ですので、まずはしっかり確認し合います。では、なぜ働き方改革が必要かといえば、今は人口構造が変わり少子高齢社会による「人口オーナス期」。男性の長時間労働では社会が成り立たなくなり、いかに男女や、障がいのある人、定年を超えた人など多様な人が働けて、労働力と社会保障の担い手になれるかが重要になってきた。そこで、ビジネスも市場も背景が変わったのだから働き方を変えましょう、と丁寧に話をしています。
それを踏まえ、少ない労働力で短い時間で成果を出すためにはどうしたらいいのか。男女ともにフル活用し、短時間で多様なチームで仕事をするとイノベーションが起き、生産性が向上するということがわかります。もちろん受け入れられない時期もありましたが、サステナブルな社会に発展させ、次の世代にいい日本を残すためには、スピーディーに働き方を変える必要があると訴え続けました。今では経営者の意識の変化も加速したかなと思っています。

 “今働き方を変えてよかったという実感を経営者自身が持たないといけない”

(東光)コロナ禍で急速にテレワークが進展しています。その影響は如何でしょうか?

(小室)テレワークで新しい価値観になった部分は大きいですね。例えば、子育てで短時間勤務だった女性たちが、テレワークによってフルタイムに戻れました。通勤時間がなくなった結果、3か月くらい労働時間が追加されたのです。働く時間や場所に徹底的にこだわりをなくせば、もっと能力も意欲もある人の活躍を引き出すことができます。かつてのルールに無意識のうちに縛られていた経営者も、その価値に気づいたと思います。ただ、コロナが終息すると後戻りする可能性があります。だからこそ、今働き方を変えてよかったという実感を経営者自身が持たないといけません。社員がテレワークを進めても、経営者だけは相変わらず出勤していることも(笑)。経営者自身が出社せず、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を活用すべきです。

障がい者によるアートとお菓子のコラボレーション

“オンライン会議でともに食べるお菓子には、ただのお菓子ではもったいない”

(東光)そうした経営者向けのオンライン会議で、私どものプロジェクトのお菓子を採用いただき、参加者で一緒に食べて下さいましたね。

(小室)経営者の皆様にオンラインで集まっていただき、働き方の意識を変えていきましょうという会議でした。福祉も、経営者の方は普段はあまり視野に入ってこない話題です。企業が利益をより追求する場合、雇用数を少なくして一人に長時間労働させます。ただ、長時間労働で育児に参画しない夫がパートナーでは、家庭なんか持てないと女性たちが不安に思ったことが、この国の少子化につながったわけです。企業が利益ばかり追求する選択をし続けたら国ごと沈むし、企業も一緒に沈みます。だからこそ経営者として違う選択をしましょうということを訴えるような会議だったのです。そんな時は、ネットでいくらでも買える、ただのお菓子ではもったいない。しっかりと社会に思いを馳せながら自分たちのミッションも考えていきたい、そういう会議のコンセプトには、同じように社会を変えていくプロジェクトに取り組んでいるsweet heart projectのお菓子がぴったりでした。それは大きな付加価値です。

“新しい価値を考え生み出す、そんな時にこそ”

(東光)その後、参加企業の皆様もお菓子を採用下さって、sweet heartの輪が広がっています。

(小室)sweet heart projectが届けてくれる福祉のお菓子はどれも美味しく、特に新作のブールドネージュは群を抜いていますね。コロナ禍の中で、どうしても支援にも優先順位をつけなければならず、福祉にしわ寄せがきていると感じますし、その意味でも大切なことです。でも、それだけじゃない。このプロジェクトは新しい時流をとらえていると思います。今はコロナ禍でとにかく会えない。企業は、会えない中で同じ時間を共にするということにみんな飢えています。オンラインでつなげば同じ時間を共にできますが、その同じ時間を過ごしていることを何かで表現したくて、同じ食事を全員の家に届けてもらい一緒に食事しながらオンラインで集まるなど、各社すごく工夫を凝らしています。さらにそこに社会貢献できる何かがあったら、よりよい時間を過ごせます。sweet heart projectのサービス、コンセプトは、新しい価値を考え生み出す、そんな時に本当にぴったりで、探していたサービスに出逢ったという感じでした。それが福祉で作っているお菓子だったんですね。それこそ、私が求めている価値の1つでした。このように価値のあるもの、こうしたものが新たに必要じゃないですかと企業に対しても積極的に提案してほしいですね。

(東光)はい、頑張って広げて参ります。貴重なお話をありがとうございました。

聞き手 東光篤子 sweet heart project 実行委員会

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